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ピリピ人への手紙
I.執筆動機
 ピリピの聖徒たちは、パウロに対して深い愛情を抱いていました。彼らはパウロが監獄に入れられた知らせを聞いて、献金を募り、それをエパフロデトに委ねて、パウロへと送り届けさせ、さらには、ローマの監獄に残って、パウロの身の回りの世話もするようにさせました(2:25)。しかしエパフロデトはローマに着いてからしばらくして重い病に冒されました。この知らせを聞いたピリピの聖徒たちは、仕えるために送った人がむしろ重荷になってしまったことを思い煩いました(2:26)。しかし、使徒パウロは、ピリピの聖徒たちが思い煩っているということを伝え聞き、むしろ彼らを気遣っています(2:27)。
 その後、エパフロデトは回復しましたが、パウロは、ピリピ人の思い煩いを取り除くために、彼をピリピに帰すことにしました。その時、同時にピリピの聖徒達への感謝を込めて、手紙を書き送りました。それがピリピ人への手紙です。
 ピリピ人への手紙には、意外なことに、ピリピ教会が直面していた現実的な問題について教訓を与える目的もありました。ピリピ教会には有能な婦人たちが多く、彼女たちが心を一つにすることに困難があったのです。パウロは、彼女たちが高ぶらず、謙遜に一つになることを、強く勧めています(2:1-4,4:2,3)。また、ピリピの聖徒たちには、パウロが監獄に入れられたために、失望や疑いが生じていました。パウロは、そんな彼らに、この手紙を通じて、自分が監獄に入れられたことは、むしろ福音の前進において有意義であるということを教えています(1:12-18)。

II.内容
 ピリピ人への手紙は「喜びの手紙」とも呼ばれています。ピリピ人への手紙には「喜び」という単語が数多く出てきます(1:14,18,25,2:17-18,3:1,4:4,10,18)。パウロは今や老年であり、監獄の中にいます。そしてピリピ教会も迫害を受けていました(1:28)。それでもその手紙には喜びが満ちているのです。何と驚くべきことではないでしょうか。私たちは、ピリピ人への手紙を通して、どんな環境の中でも、喜びを得ることができるという信仰の世界を目の当たりにします。それと同時に、パウロの晩年に書かれた、この手紙から、彼の成熟した信仰人としての姿勢を見て取ることができます。彼のキリストに対する忠誠心、献身、求道者の心、愛などは、信仰の成熟を目指す私たちに大きな感動をもたらすものです。

カテゴリ:新約聖書::ピリピ人への手紙

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